大手監査法人出身の公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)が監修。個人事業主・フリーランスの確定申告と記帳を年間100件以上手がける立場から、経費にできるものを勘定科目別に解説します。
経費の全体像を知りたい個人事業主に向けて、経費にできるものを勘定科目別の完全リストで解説します。この記事を読めば、計上できる費用が一目で分かり、経費にできないものやグレーゾーンの判断まで身につきます。
🏆 結論:事業に必要な支出は幅広く経費にできる。判断軸は「事業との関連性」
個人事業主が経費にできるのは、事業の遂行に必要な支出です。家賃・光熱費・通信費・交通費・消耗品費など、勘定科目ごとに幅広い費用が対象になります。プライベートと兼用するもの(自宅家賃や車など)は、事業で使う割合分を家事按分して計上します。一方、所得税・住民税や国民年金、プライベートの支出は経費になりません。判断に迷ったら「その支出は売上を生むために必要か」「事業との関連性を説明できるか」を基準にしましょう。本記事では勘定科目別に、経費にできるものを完全リストで整理します。
経費にできるものの基本
経費にできるものの基本は、「事業の遂行に必要な支出」であることです(所得税法第37条)。売上を得るために使ったお金であれば、幅広く必要経費として計上できます。経費を漏れなく計上することは、最も基本的で確実な節税につながります。経費の全体像は「経費の完全ガイド」で整理しています。
逆に、事業と関係のないプライベートな支出は経費になりません。プライベートと事業で兼用するものは、事業で使う割合分だけを家事按分して計上します。経費を正しく計上できれば課税所得が下がり、結果として手元に残るお金が増えます。まずは勘定科目別に、何が経費になるかを把握しましょう。
経費にできるもの一覧【勘定科目別リスト】
経費にできるものの全リストを、勘定科目別に整理します。自分の事業で使っている支出がないか確認してください。
- 地代家賃(事務所・店舗の賃料、自宅兼事務所は按分)
- 水道光熱費(電気・ガス・水道、自宅兼用は按分)
- 通信費(電話・インターネット・携帯、按分)
- 旅費交通費(電車・バス・タクシー・出張費)
- 接待交際費(取引先との飲食・贈答)
- 会議費(打ち合わせの飲食・会場費)
- 消耗品費(10万円未満の備品・文具・ソフト)
- 広告宣伝費(ホームページ・チラシ・ネット広告)
- 新聞図書費(事業に関する書籍・新聞・雑誌)
- 外注費(業務委託・代行費用)
- 荷造運賃(送料・梱包材)
- 修繕費(設備・備品の修理)
- 租税公課(個人事業税・固定資産税・印紙税など)
- 損害保険料(事業用の火災保険・賠償責任保険)
- 減価償却費(10万円以上の固定資産)
- 給料賃金・専従者給与(従業員・家族への給与)
- 福利厚生費・支払手数料・雑費
※業種によって使う科目は異なります。自分の事業に関係のある科目から押さえましょう。勘定科目の選び方に迷う場合は、近い意味の科目でも継続して同じ処理をすれば問題ありません。大切なのは正しい科目に振り分けることよりも、事業に必要な支出を漏れなく計上することです。
勘定科目別の分類と具体例
主要な勘定科目別の分類について、具体例とともに見ていきます。
自宅兼事務所で按分する科目
自宅で仕事をする場合、地代家賃・水道光熱費・通信費は、事業で使う割合分を家事按分して計上します。たとえば自宅の面積の30%を仕事に使っているなら、家賃の30%が経費です。按分は使用面積や使用時間など、合理的な根拠で行います。
飲食に関する科目(交際費・会議費)
取引先との飲食は接待交際費、打ち合わせの飲食は会議費にできます。一方、一人での食事は原則として経費になりません。誰と何の目的で飲食したかを、領収書の裏などに記録しておくと安心です。
💡 実務のポイント
弊所がよくお伝えするのは、勘定科目の名前にこだわりすぎないことです。大切なのは「事業に必要な支出を漏れなく計上すること」で、科目の振り分けは多少前後しても大きな問題にはなりません。それよりも、計上漏れのほうがもったいないので、事業に関係する支出は領収書を残し、確実に経費に入れましょう。
経費にできるかの判断基準
経費にできるかの判断基準は、シンプルに「事業の遂行に必要かどうか」です。次の2点を自問すると判断しやすくなります。
- その支出は、売上を生むために必要だったか
- 事業との関連性を、第三者に説明できるか
この2点を満たせば、堂々と経費にできます。逆に、説明に詰まるものは経費にすべきではありません。迷ったときは、税務署の調査官に聞かれたらどう答えるかを想像してみると、判断しやすくなります。判断基準の詳しい考え方は「経費にできるかの判断基準」、金額の上限については「経費はいくらまで認められるか」で詳しく解説しています。
経費にできないもの
一方で、経費にできないものもはっきりしています。次のものは事業の必要経費になりません。
| 経費にできないもの | 理由・扱い |
|---|---|
| 所得税・住民税 | 事業の経費ではない |
| 国民健康保険料・国民年金 | 経費でなく所得控除(社会保険料控除) |
| プライベートの支出 | 事業と無関係 |
| 借入金の元本返済 | 経費にできるのは利息部分のみ |
| 事業主本人の健康診断・人間ドック | 原則経費にできない |
※国民年金や国民健康保険料は経費にはできませんが、所得控除(社会保険料控除)として全額が所得から差し引けます。経費にならなくても、税金が減ることに変わりはありません。経費か所得控除かで欄が違うだけで、節税効果はしっかり得られます。
判断に迷うグレーゾーン
実務で最も悩むのが、判断に迷うグレーゾーンです。事業とプライベートの両方の性質を持つ支出は、慎重な判断が必要です。
| グレーな支出 | 考え方 |
|---|---|
| スーツ・衣服 | 原則私的。事業専用と説明できる場合に限る |
| 自宅家賃・光熱費・車 | 事業使用分を家事按分 |
| 一人での食事 | 原則経費にできない |
| 資格取得・セミナー費 | 事業に直接必要なら経費に |
※グレーゾーンは「事業との関連性を説明できるか」で判断します。説明できないものを無理に経費にすると、後の税務調査で否認されるリスクがあるため注意が必要です。領収書がない場合の扱いは「領収書がない経費の処理方法」をご覧ください。業種別の経費の注意点は「業種別の確定申告ガイド」も参考になります。
確定申告ドットコムのサポート実例
弊所では、経費の洗い出しから記帳・確定申告まで一貫してサポートしています。実際の対応例を紹介します。
実例1:経費を取りこぼしていたフリーランスAさん(料金:年49,800円)
自宅家賃や通信費の按分を計上しておらず、経費を取りこぼしていました。勘定科目別に支出を洗い出し、按分を含めて漏れなく計上。課税所得が下がり、税負担を抑えられました。計上漏れの防止が効いた例です。
実例2:科目の振り分けに迷っていたデザイナーBさん(料金:年49,800円)
どの支出をどの科目にすべきか迷い、記帳が滞っていました。主要な勘定科目の使い方を整理し、迷ったときの判断ルールを共有。記帳がスムーズになり、申告までの負担が大きく減りました。
実例3:グレーな支出の判断を相談した建設業Cさん(料金:年59,800円)
作業着や車の費用など、グレーな支出の扱いに不安がありました。事業との関連性を整理し、按分や経費計上の根拠を明確化。税務調査でも説明できる形に整え、安心して経費にできるようになりました。
よくある質問
まとめ:事業に必要な支出を勘定科目別に漏れなく計上する
個人事業主が経費にできるのは、事業の遂行に必要な支出です。地代家賃・水道光熱費・通信費・旅費交通費・消耗品費など、勘定科目ごとに幅広い費用が対象になります。プライベートと兼用するものは家事按分して計上し、所得税・住民税や国民年金、プライベートの支出は経費になりません。判断に迷ったら「売上を生むために必要か」「事業との関連性を説明できるか」を基準にしましょう。経費を漏れなく計上することは、最も確実な節税です。まずは勘定科目別のリストで、自分の事業の支出を洗い出すことから始めてください。判断に迷う場合は「節税を税理士に依頼すべきか」もご確認ください。
📋 この記事のポイント
- 経費にできるのは事業の遂行に必要な支出
- 家賃・光熱費・通信費・交通費など勘定科目別に幅広い
- プライベート兼用は家事按分で事業使用分を計上
- 判断軸は「売上に必要か」「関連性を説明できるか」
- 所得税・住民税・国民年金・元本返済は経費にできない
- 国民年金等は経費でなく所得控除で税金が減る
- グレーゾーンは関連性を説明できるかで判断する
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