小規模企業共済で節税する方法|掛金全額控除の効果と注意点

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大手監査法人出身の公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)が監修。個人事業主・フリーランスの確定申告と節税相談を年間100件以上受ける立場から、小規模企業共済で実際にいくら得をするのかを数字で解説します。
📋 公認会計士 × 税理士 監修 🧮 掛金別の節税額を試算

退職金を準備しながら節税したい個人事業主・フリーランスに向けて、小規模企業共済の節税効果を掛金別の具体的な数字で解説します。この記事を読めば、自分の掛金でいくら税金が軽くなるか試算でき、受取時の税制や解約の注意点まで分かります。

🏆 結論:掛金全額が所得控除、月7万円なら年16〜28万円の節税

小規模企業共済は、掛金の全額が所得控除になる退職金積立制度です。掛金は月1,000円〜7万円で、年間最大84万円を所得から控除できます。節税額は「年間掛金 × ご自身の税率(所得税+住民税)」で決まり、上限の月7万円なら税率20%の人で年約16.8万円、税率33%の人で年約27.7万円の節税になります。ただし、加入から20年(240か月)未満で任意解約すると元本割れする点には注意が必要です。退職金を積み立てながら税金を減らせる、個人事業主に最も人気の制度です。

小規模企業共済とは

小規模企業共済は、国の機関である中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する、個人事業主や小規模企業の役員のための退職金積立制度です。廃業や退職のときに、積み立てた掛金に応じた共済金を受け取れます。個人事業主の節税策全体の中での位置づけは「個人事業主の節税完全ガイド」で整理しています。

制度の概要

掛金は月額1,000円〜7万円の範囲で、500円単位で自由に設定できます。途中で増額・減額もできるため、事業の状況に合わせて調整可能です。積み立てたお金は、将来の退職金や事業の運転資金(貸付制度)として活用できます。

掛金全額控除の効果

最大の魅力が、掛金全額控除です。支払った掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引けます(所得税法第75条)。年間最大84万円を控除できるため、課税所得を大きく圧縮できます。経費ではなく所得控除なので、所得税率が高い人ほど節税効果が大きくなります。

💡 実務のポイント

弊所のお客様では、青色申告の65万円控除と小規模企業共済をセットで使う方が非常に多いです。65万円控除で課税所得を下げ、さらに共済の掛金控除で下げると、税率の高い方は年30万円以上の節税になることもあります。青色申告とのセット活用は「青色申告で65万円節税する方法」もあわせてご覧ください。

月7万円なら節税額はいくらか【掛金別シミュレーション】

節税額は「年間掛金 ×(所得税率 + 住民税10%)」で計算できます。掛金別シミュレーションで、月いくら積み立てるといくら節税できるかを見ていきます。住民税は一律10%とし、所得税率10%(税率合計20%)と20%(税率合計30%)の2パターンで試算しました。

掛金月額 年間掛金(控除額) 節税額(税率20%) 節税額(税率30%)
1万円12万円24,000円36,000円
3万円36万円72,000円108,000円
5万円60万円120,000円180,000円
7万円(上限)84万円168,000円252,000円

※住民税率10%で計算した概算です。別途、復興特別所得税(所得税額の2.1%)がわずかに加わります。税率23%(合計33%)の方なら月7万円で年約27.7万円の節税です。

🧮 積み立てながら税金が戻るイメージ

月7万円を積み立てる場合、年間84万円が自分の退職金として貯まりつつ、そのうち16〜28万円分は本来納めるはずだった税金が手元に残る計算です。「払ったお金が消える保険」ではなく「貯金しながら節税できる制度」と理解すると分かりやすいです。

加入条件と対象になる人

加入条件は業種ごとに従業員数の上限が定められています。常時使用する従業員数が次の人数以下であることが要件です。

業種 従業員数の上限
建設業・製造業・運輸業など20人以下
商業(卸売・小売)・サービス業5人以下
宿泊業・娯楽業のサービス業20人以下

※従業員を雇っていない一人社長やフリーランスは問題なく加入できます。加入後に事業が成長して従業員が増えても、契約は継続できます。

一方、給与所得者(会社員)や、すでに従業員数の上限を超えている事業者は加入できません。自分の事業の業種ごとの取り扱いは「業種別の確定申告ガイド」も参考になります。

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小規模企業共済の掛金控除を確定申告に正しく反映し、節税を最大化します。

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受取時の税制【出口でも優遇】

受取時の税制も大きな魅力です。共済金は受け取り方によって課税の扱いが変わり、いずれも税制上の優遇を受けられます。

受け取り方 税制上の扱い
一括受取退職所得(退職所得控除が使える)
分割受取公的年金等の雑所得(公的年金等控除が使える)
一括+分割の併用一括分は退職所得、分割分は雑所得

※一括受取の退職所得は、勤続(加入)年数に応じた退職所得控除を差し引いたうえで、さらに2分の1課税となるため、税負担が大きく軽減されます。

掛金を払うとき(入口)に所得控除で節税でき、受け取るとき(出口)にも退職所得控除などで優遇されるため、入口・出口の両方で税制メリットがある点が小規模企業共済の強みです。

解約のデメリットと元本割れリスク

メリットの大きい制度ですが、解約のデメリットも理解しておく必要があります。最大の注意点が元本割れです。

⚠️ 20年未満の任意解約は元本割れ

掛金の納付月数が240か月(20年)未満で自己都合により任意解約すると、解約手当金が払い込んだ掛金を下回り、元本割れします。これは「途中でお金が必要になったから解約する」場合のリスクです。一方、廃業・死亡・老齢(65歳以上で180か月以上納付)による受け取りは元本割れしません。短期解約を前提にした加入は避けるべきです。

元本割れを避ける工夫

資金繰りが苦しくなったときは、解約ではなく掛金の減額(最低1,000円まで)で対応できます。また、共済を担保にした低金利の貸付制度もあるため、急な資金需要には解約以外の選択肢を検討しましょう。無理のない掛金設定が、元本割れを避ける最大のポイントです。

iDeCo・青色申告との比較と併用

小規模企業共済とよく比較されるのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。どちらも掛金が全額所得控除になりますが、性質が異なります。

項目 小規模企業共済 iDeCo
掛金上限月7万円(年84万円)職業により異なる
引き出し廃業・退職時など(途中解約可・元本割れ注意)原則60歳まで不可
運用機構が運用(予定利率)自分で運用商品を選ぶ

※両方とも所得控除の対象なので、併用すれば節税効果はさらに高まります。iDeCoの詳細は「iDeCoの節税効果」をご覧ください。

本格的に節税を組み立てたい場合は、専門家に相談して制度の組み合わせを設計するのが効率的です。依頼の判断材料は「節税を税理士に依頼すべきか」で整理しています。

加入手続きの流れ

加入手続きは難しくありません。大まかな流れは次のとおりです。

  1. 中小機構の委託団体(金融機関・商工会議所など)の窓口で申し込む
  2. 契約申込書と預金口座振替申出書を提出する
  3. 個人事業主は確定申告書の控えなど、事業を営んでいることが分かる書類を提示する
  4. 掛金が口座振替で引き落とされ、積み立てが始まる

確定申告では、年末に届く「小規模企業共済掛金払込証明書」を使って掛金控除を申告します。経費の取りこぼしと同様、控除の申告漏れは損につながるため、書類は必ず保管してください。経費と控除を含めた節税の土台は「経費計上で節税する方法」でも解説しています。

確定申告ドットコムのサポート実例

弊所では、小規模企業共済の活用提案から確定申告での控除反映まで一貫してサポートしています。実際の対応例を紹介します。

実例1:課税所得500万円のフリーエンジニアのAさん(料金:年59,800円)

掛金を月7万円(年84万円)に設定し、青色申告の65万円控除と組み合わせて節税プランを設計。共済の掛金控除だけで年約25万円の節税となり、退職金も同時に積み立てられました。確定申告での掛金控除の反映も代行しました。

実例2:課税所得300万円のデザイナーのBさん(料金:年49,800円)

資金繰りに不安があったため、無理のない月3万円からスタート。年間約10万円の節税を確保しつつ、元本割れリスクを避ける掛金設定を提案。事業が安定したら増額する方針で、長期的な退職金準備の土台を整えました。

実例3:課税所得800万円のコンサルタントのCさん(料金:年69,800円)

掛金上限の月7万円に加えてiDeCoも併用し、所得控除をフル活用。共済とiDeCoを合わせて年30万円超の節税を実現しました。受取時の退職所得控除まで見据えた出口戦略もあわせて設計しています。

よくある質問

小規模企業共済の掛金は本当に全額控除されますか?
はい、支払った掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除として所得から控除されます。年間最大84万円まで控除でき、所得税と住民税の両方が軽減されます。経費ではなく所得控除である点に注意してください。
月7万円だといくら節税できますか?
年間掛金84万円に対し、税率合計20%なら約16.8万円、30%なら約25.2万円、33%なら約27.7万円の節税です。税率が高い人ほど節税効果が大きくなります。
途中で解約すると損しますか?
掛金の納付月数が240か月(20年)未満で任意解約すると元本割れします。ただし廃業・死亡・老齢による受け取りは元本割れしません。資金が必要なときは解約より掛金の減額や貸付制度の利用を検討しましょう。
受け取るときに税金はかかりますか?
かかりますが優遇されます。一括受取は退職所得として退職所得控除が使え、分割受取は公的年金等の雑所得として公的年金等控除が使えます。入口でも出口でも税制メリットがあります。
会社員でも加入できますか?
給与所得者である会社員は加入できません。対象は個人事業主や小規模企業の役員などで、業種ごとに従業員数の上限(5人以下または20人以下)を満たす必要があります。
掛金は途中で変更できますか?
できます。月1,000円〜7万円の範囲で、500円単位で増額・減額が可能です。事業の状況に応じて柔軟に調整できるため、最初は少額から始めて後で増やすこともできます。
加入や掛金控除の手続きを任せられますか?
はい、対応可能です。弊所では加入の提案から確定申告での掛金控除の反映まで一括でサポートしています。確定申告の丸投げは49,800円〜で承っています。

まとめ:掛金全額控除でお得に退職金を積み立てよう

小規模企業共済は、掛金全額が所得控除になる退職金積立制度です。掛金は月1,000円〜7万円で、年間最大84万円を控除でき、月7万円なら税率に応じて年16〜28万円の節税になります。受取時も退職所得控除などで優遇され、入口・出口の両方で税制メリットがあります。ただし、20年未満の任意解約は元本割れするため、無理のない掛金設定が重要です。青色申告やiDeCoと併用すれば節税効果はさらに高まります。制度の組み合わせに迷う場合は「節税を税理士に依頼すべきか」もご確認ください。まずは無理のない掛金から、退職金準備と節税を同時に始めましょう。

📋 この記事のポイント

  • 掛金は全額が所得控除(年間最大84万円)
  • 節税額は「年間掛金 × 税率」で、月7万円なら年16〜28万円
  • 受取時も退職所得控除などで優遇される
  • 20年未満の任意解約は元本割れに注意
  • 資金が必要なときは減額や貸付制度で対応できる
  • 加入条件は業種ごとの従業員数の上限を満たすこと
  • 青色申告・iDeCoと併用すると節税効果がさらに高まる

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