大手監査法人出身の公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)が監修。個人事業主・フリーランスの確定申告と節税相談を年間100件以上受ける立場から、計上漏れを防いで手取りを増やす経費の考え方を解説します。
経費で節税したい個人事業主・フリーランスに向けて、計上漏れを防ぐ具体的な経費10選と正しい計上方法を解説します。この記事を読めば、見落としがちな経費を拾い、家事按分や少額減価償却まで使って手取りを増やせます。
🏆 結論:経費の計上漏れをなくすことが、最も手軽で確実な節税
節税の第一歩は、計上できる経費を漏れなく拾うことです。経費が1万円増えれば、税率20%の人なら約2,000円、30%の人なら約3,000円の節税になります。特に見落としやすいのが、自宅家賃や通信費の家事按分、取引先との飲食代、書籍・セミナー代などです。さらに10万円以上の備品は、少額減価償却資産の特例(2026年4月以降取得分は40万円未満)を使えば一括で経費にできます。経費の判断基準は「その支出が事業に必要かどうか」。私的な支出を経費にするのはNGですが、事業に関連する支出を取りこぼすのは大きな損です。
経費計上が節税になる仕組み
経費計上の基本を押さえましょう。所得税は「売上 − 経費 − 各種控除」で計算される課税所得に対してかかります(所得税法第37条)。つまり経費が増えれば課税所得が下がり、その分だけ税金が安くなります。節税戦略全体の中での位置づけは「個人事業主の節税完全ガイド」で整理しています。
経費が1万円増えるといくら節税できるか
| 税率(所得税+住民税) | 経費1万円あたりの節税額 | 経費10万円あたりの節税額 |
|---|---|---|
| 15% | 1,500円 | 15,000円 |
| 20% | 2,000円 | 20,000円 |
| 30% | 3,000円 | 30,000円 |
※経費はあくまで事業に使ったお金です。節税のために不要な支出を増やすのは本末転倒で、手元のお金は減ります。「すでに使ったお金を漏れなく経費にする」のが正しい考え方です。
経費の判断基準
経費にできるかどうかの判断基準は「その支出が事業の遂行上必要かどうか」です。事業に直接関係する支出であれば経費になり、プライベートな支出は経費になりません。迷ったら「事業との関連を税務署に説明できるか」を基準に考えると判断しやすくなります。同じ支出でも、事業に使った部分とプライベートで使った部分が混在する場合は、後述の家事按分で事業分だけを経費にします。
漏れやすい経費10選【具体リスト】
実務で計上漏れが起きやすい経費を10個挙げます。心当たりがないかチェックしてください。
- 自宅の家賃・水道光熱費(自宅兼事務所なら家事按分で計上)
- スマホ・インターネットの通信費(事業利用分を家事按分)
- 自家用車のガソリン代・車検代・自動車保険(事業利用分を按分)
- 取引先との飲食代(接待交際費・会議費)
- 仕事関連の書籍・新聞・セミナー受講料(新聞図書費・研修費)
- 事業で使うクレジットカードの年会費・決済手数料
- 名刺・文具・PC周辺機器などの消耗品費
- 取引先への手土産・お祝い・香典(接待交際費)
- 事業用の損害保険料・賠償責任保険料
- 銀行の振込手数料・売上の決済手数料(支払手数料)
💡 実務のポイント
弊所のお客様で多いのが、現金で払った少額の支出を記録せず、年間で数万円分の経費を取りこぼしているケースです。打ち合わせのカフェ代や、仕事で読んだ書籍代などは、その都度レシートを残す習慣がないと漏れます。会計アプリのレシート撮影機能を使うと、計上漏れを大きく減らせます。
家事按分で経費にできるもの
自宅で仕事をする個人事業主にとって重要なのが家事按分です。家事按分とは、自宅家賃や光熱費など「事業とプライベートが混在する支出」を、事業で使った割合に応じて経費にする方法です。
| 支出 | 按分の基準(例) |
|---|---|
| 家賃 | 仕事部屋の床面積 ÷ 全体の床面積 |
| 電気代 | 使用時間や使用面積の割合 |
| 通信費 | 事業で使う時間の割合 |
| 車関連費 | 走行距離のうち事業利用の割合 |
※按分割合は合理的な根拠が必要です。「なんとなく50%」ではなく、面積や時間など説明できる基準で決めましょう。根拠の記録を残しておくと、税務調査でも安心です。
確定申告ドットコム
大手監査法人出身の公認会計士・税理士が対応。
確定申告を 49,800円〜 で丸投げできます。
家事按分の割合設定から経費の計上まで、計上漏れのない申告をサポートします。
料金・サービスはこちらから →少額減価償却の特例で一括経費にする
10万円以上の備品は、原則として数年に分けて経費化(減価償却)します。しかし少額減価償却資産の特例を使えば、一定額未満の資産を購入した年に全額経費にできます。金額のラインを整理します。
| 取得価額 | 処理方法 |
|---|---|
| 10万円未満 | 全額その年の経費(消耗品費) |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産として3年で均等償却も選べる |
| 40万円未満(青色申告者) | 少額減価償却資産の特例で一括経費(年間合計300万円まで) |
📢 令和8年度改正で30万円未満→40万円未満に引き上げ
少額減価償却資産の特例は、従来は取得価額30万円未満が対象でしたが、令和8年度税制改正により2026年4月1日以降に取得した資産から40万円未満に引き上げられました。青色申告者であることが条件で、年間合計300万円までが上限です。高額なPCや機材を一括経費にしやすくなり、節税の幅が広がりました。
経費にできないもの・NG例
節税のつもりで経費にすると、かえってリスクになるNG例もあります。
⚠️ 経費にできない代表例
プライベートの食事代・旅行代、家族との外食、私的な被服費、事業と無関係なスーツ代、自分自身への給与、所得税・住民税の支払いなどは経費になりません。事業との関連が説明できない支出を経費にすると、税務調査で否認され、加算税や延滞税が課されるおそれがあります。「グレーなものは入れない」が安全な姿勢です。
経費を計上するときの注意点
経費を正しく計上するために、次の点を押さえましょう。
- レシート・領収書は必ず保管する(原則7年間)
- 家事按分の割合は合理的な根拠を記録しておく
- 事業用とプライベートの口座・カードを分けると管理が楽になる
- 高額な備品は購入時期で特例の適用可否が変わるため記録を残す
経費の計上漏れをなくすことは、青色申告の65万円控除や各種共済と並ぶ節税の土台です。あわせて活用したい制度は「青色申告で65万円節税する方法」や「小規模企業共済で節税する方法」で解説しています。業種ごとに認められやすい経費は「業種別の確定申告ガイド」も参考になります。
経費の判断に迷う、計上漏れが不安という方は、専門家への依頼も選択肢です。判断材料は「節税を税理士に依頼すべきか」で整理しています。
確定申告ドットコムのサポート実例
弊所では、経費の洗い出しから家事按分の設定、確定申告まで一貫してサポートしています。実際の対応例を紹介します。
実例1:在宅ワークのWebライターAさん(料金:年49,800円)
自宅家賃・通信費の家事按分が未設定で、年間約40万円の経費を取りこぼしていました。床面積と使用時間を基準に按分割合を設定し、書籍代やカフェでの打ち合わせ代も拾った結果、課税所得を大きく圧縮。税率20%で年8万円超の節税につながりました。
実例2:出張の多いカメラマンBさん(料金:年59,800円)
自家用車の事業利用分の按分と、機材購入時の処理を見直し。30万円台のカメラ機材を少額減価償却資産の特例で一括経費にし、その年の節税効果を最大化しました。走行距離の記録方法も指導し、税務調査にも耐える体制を整えました。
実例3:飲食系の個人事業主Cさん(料金:年69,800円)
接待交際費と会議費の区分が曖昧で、計上に不安を抱えていました。判断基準を整理し、経費にできるもの・できないものを明確化。グレーな支出を外す一方、漏れていた仕入関連の手数料を拾い、適正な申告と節税を両立しました。
よくある質問
まとめ:計上漏れをなくすことが最も確実な節税
経費の正しい計上は、最も手軽で確実な節税です。経費が増えれば課税所得が下がり、税率に応じて税金が安くなります。特に家事按分や少額の現金支出は漏れやすいので、漏れやすい経費10選を参考にチェックしましょう。10万円以上の備品は少額減価償却資産の特例(2026年4月以降は40万円未満)で一括経費にできます。ただし、判断基準はあくまで「事業に必要かどうか」。私的な支出を経費にするのはNGです。経費計上は青色申告や各種共済と並ぶ節税の土台なので、まずは手元の支出を見直すことから始めましょう。判断に迷う場合は「節税を税理士に依頼すべきか」もご確認ください。
📋 この記事のポイント
- 経費が増えると課税所得が下がり、税率に応じて節税になる
- 漏れやすい経費10選で計上漏れをチェック
- 自宅家賃・通信費・車関連費は家事按分で経費にできる
- 少額減価償却の特例で40万円未満の備品を一括経費に(2026年4月以降)
- 判断基準は「事業に必要かどうか」
- 私的な支出を経費にするのはNG
- レシート・領収書は原則7年間保管する
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