大手監査法人出身の公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)が監修。個人事業主・フリーランスの確定申告と税務相談を年間100件以上受ける立場から、個人事業税の仕組みと業種判定を解説します。
個人事業税を抑えたい個人事業主に向けて、事業主控除290万円と業種判定の仕組みを解説します。この記事を読めば、自分の事業が課税対象かどうかが分かり、業種によっては課税されない可能性も確認できます。
🏆 結論:所得290万円以下なら非課税。法定業種に該当しない働き方も対象外
個人事業税は、法律で定められた70業種に該当する事業に課される都道府県税です。事業主控除が年290万円あるため、事業所得が290万円以下なら課税されません。さらに、ライターやプログラマー、画家など、法定業種に含まれない働き方は、所得が大きくても原則として課税対象外です。ただし、契約形態や実態によって「請負業」などと判定され課税されるケースもあり、判断は都道府県によって分かれます。自分の業種が課税対象かどうかを正しく知ることが、個人事業税対策の第一歩です。
個人事業税の仕組み
個人事業税の仕組みを押さえましょう。個人事業税は、都道府県に納める地方税で、法律で定められた70業種(法定業種)に該当する事業を営む個人に課されます(地方税法第72条の2)。個人事業主の税金・節税の全体像は「個人事業主の節税完全ガイド」で整理しています。
計算式は「(事業所得 − 事業主控除290万円 − 各種控除)× 税率」です。所得税のように経費を細かく積み上げて節税するというより、そもそも課税対象の業種か、所得が290万円を超えるか、という入口の判定が重要になります。逆に言えば、この2つの入口さえ確認すれば、自分に個人事業税がかかるのかどうかを早い段階で把握できます。
事業主控除290万円
個人事業税には、事業主控除290万円という大きな控除があります。事業所得から一律で290万円を差し引けるため、事業所得が290万円以下であれば個人事業税はかかりません。この控除があるおかげで、小規模な事業者の多くは個人事業税の対象にならずに済んでいます。
💡 開業初年度は月割になる
事業主控除290万円は、1年間営業した場合の金額です。開業初年度など営業期間が1年未満の場合は、月割(290万円 ÷ 12 × 営業月数)になります。たとえば10月開業なら3か月分で約72.5万円となります。なお、納税額を抑えるために開業を遅らせるのは本末転倒なので、事業の準備状況を優先しましょう。
課税業種の判定と税率【一覧表】
課税業種の判定は、法定70業種への該当の有無で決まります。業種は3区分に分かれ、税率は3〜5%です。
| 区分 | 主な業種 | 税率 |
|---|---|---|
| 第1種事業 | 物品販売・製造・飲食・請負・不動産貸付など | 5% |
| 第2種事業 | 畜産業・水産業・薪炭製造業 | 4% |
| 第3種事業 | 医業・弁護士・税理士・デザイン・コンサルタントなど | 5% |
| 第3種(一部) | あんま・はり・きゅう・柔道整復等、装蹄師業 | 3% |
※多くのフリーランスが該当する請負業・デザイン業・コンサルタント業は、いずれも税率5%です。たとえば事業所得(青色控除前)500万円の第1種事業なら、(500万円 − 290万円)× 5% = 10.5万円が個人事業税です。
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料金・サービスはこちらから →非課税業種(法定業種に該当しない働き方)
非課税業種にあたる働き方もあります。法定70業種に含まれない事業は、所得が290万円を超えても個人事業税がかかりません。
- 文筆業(ライター・作家)
- プログラマー・システムエンジニア
- 画家・音楽家などの芸術家
- 翻訳業・通訳業の一部
これらは法定業種に明示されていないため、原則として課税対象外とされています。同じフリーランスでも、デザイン業やコンサルタント業は第3種事業として課税される一方、純粋なライターやプログラマーは非課税というように、業種によって扱いが大きく異なります。自分の働き方がどちらに当たるかを知っておくと、想定外の納税通知に慌てずに済みます。
業種判定による節税の余地
ここに業種判定による節税の余地があります。ただし、業種判定は名称ではなく実態と契約形態で行われるため、慎重な判断が必要です。
⚠️ 「請負業」と判定されると課税される
ライターでも、企業から記事制作を請け負う形態だと「請負業」として課税される可能性があります。プログラマー・システムエンジニアも、契約内容によっては請負業と判定され、都道府県によって判断が分かれるのが実情です。また、開業届や確定申告書の「職業欄」「事業の種類」に記載した内容が業種判定に使われます。安易に「コンサルタント」と書くと第3種事業(5%)として課税されることもあるため、実態に即した記載が大切です。
つまり、節税の余地はあるものの、課税を逃れることを目的に実態と異なる業種を装うのは避けるべきです。あくまで「自分の事業の実態が法定業種に該当するか」を正しく確認することが重要です。判断に迷う場合は、管轄の都道府県税事務所や専門家に確認しましょう。なお、個人事業税が課税される業種であっても、所得税側で小規模企業共済やiDeCoを活用すれば所得全体の税負担を抑えられます(「小規模企業共済で節税する方法」参照)。業種別の税務の注意点は「業種別の確定申告ガイド」も参考になります。
個人事業税の計算上の注意
個人事業税の計算には、所得税と異なる注意点があります。間違えやすいポイントを押さえておきましょう。
| 項目 | 個人事業税での扱い |
|---|---|
| 青色申告特別控除(65万円) | 適用されない(足し戻して計算) |
| 所得控除(社保・医療費など) | 差し引けない(代わりに事業主控除290万円) |
| 青色の損失繰越 | 適用される |
| 納付した個人事業税 | 経費(租税公課)に計上できる |
※所得税で65万円の青色申告特別控除を引いていても、個人事業税の計算では足し戻すことになります。青色申告のメリットは所得税側で活きるため、引き続き「青色申告で65万円節税する方法」は重要です。納付は通常8月・11月の年2回で、所得税の確定申告をすれば原則別途申告は不要です。
確定申告ドットコムのサポート実例
弊所では、個人事業税の業種判定から確定申告まで一貫してサポートしています。実際の対応例を紹介します。
実例1:非課税業種だったライターAさん(料金:年49,800円)
事業所得が400万円あり個人事業税を心配されていましたが、純粋な文筆業(ライター)として法定業種に該当せず、非課税であることを確認。納税通知書が来ないことを説明し、不安を解消しました。業種判定の確認が役立った例です。
実例2:職業欄を見直したエンジニアBさん(料金:年49,800円)
確定申告書の事業の種類欄に「コンサルタント」と記載しており、課税リスクがありました。実態は受託開発のため、実態に即した記載に修正。都道府県税事務所への確認も行い、適正な業種判定を整えました。
実例3:所得290万円前後の小売業Cさん(料金:年49,800円)
第1種事業の小売業で、事業所得が290万円前後。事業主控除で課税されるかどうかの境目だったため、正確な所得計算で個人事業税の有無を判定。経費の計上漏れもチェックし、適正な申告を行いました。
よくある質問
まとめ:まず課税対象か、所得290万円超かを確認する
個人事業税は、法定70業種に該当する事業に課される都道府県税です。事業主控除が年290万円あるため、事業所得が290万円以下なら課税されません。さらに、ライターやプログラマー、画家など法定業種に含まれない働き方は、所得が大きくても原則として課税対象外です。ただし、業種判定は名称ではなく実態と契約形態で行われ、契約内容によっては請負業として課税されることもあります。課税を逃れる目的で業種を装うのは避け、自分の事業の実態を正しく確認することが大切です。計算では青色申告特別控除を足し戻す点にも注意しましょう。判断に迷う場合は「節税を税理士に依頼すべきか」もご確認ください。
📋 この記事のポイント
- 個人事業税は法定70業種に課される都道府県税
- 事業主控除290万円があり、所得290万円以下は非課税
- 税率は業種により3〜5%(多くは5%)
- ライター・エンジニア・画家など法定業種外は原則非課税
- 業種判定は名称でなく実態・契約形態で行われる
- 計算では青色申告特別控除を足し戻す
- 納付した個人事業税は経費に計上できる
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