自家消費の処理|飲食店・小売業の経費計上の注意点

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大手監査法人出身の公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)が監修。個人事業主・フリーランスの確定申告を年間100件以上代行している実務経験から、飲食・小売業で見落としやすい自家消費の処理を具体的に解説します。
📋 税理士監修 💼 飲食・小売業向け

飲食店・小売業の方に向けて、自家消費の正しい処理を解説します。販売用の商品を自分で消費したら売上計上が必要です。読めば、申告漏れを防げます。

🏆 結論:販売用の商品を自分で消費したら「売上」に計上する

飲食店や小売業で、販売用の商品や食材を事業主・家族が消費したら、それは自家消費として売上に計上する必要があります。経費(仕入)を減らすのではなく、売上に加えるのがポイントです。金額は、原則として通常の販売価額の70%以上、かつ仕入価額以上で計上します。知らないと申告漏れになりやすい論点です。

自家消費とは?知らないと申告漏れになる

自家消費(家事消費)とは、販売用に仕入れた商品や、製造した製品を、事業主本人や家族が消費したり、知人に無償で贈与したりすることです。飲食店で店の食材を使ってまかないを食べる、小売店で売り物を自分で使う、といったケースが典型例です。

自家消費の概念を知らないと、「売り物を自分で使っただけだから関係ない」と考えて申告から漏らしてしまいます。しかし税務上は、本来売れば売上になったはずの商品を消費したのだから、その分を収入として認識する必要があるのです。飲食・小売業の税務調査では必ずと言ってよいほど確認される論点です。経費全体の考え方は経費の完全ガイドで体系的に扱っているので、あわせて押さえておきましょう。

自家消費は「売上」に計上する

自家消費の処理で最も重要なのが、「経費を減らすのではなく、売上に計上する」という点です。多くの方が「自分で使った分の仕入を経費から除けばいい」と考えますが、正しくは収入金額(売上)に加算します。売上計上が必要なのです。

なぜなら、仕入はそのまま事業の費用として残し、消費した分を売上として認識することで、利益が正しく計算されるからです。仕入を減らす方法と売上に加える方法では、消費税の扱いなどで違いが出るため、原則どおり売上計上で処理しましょう。経費に計上できるかどうかの判断軸は経費の判断基準でも解説していますが、自家消費は「経費」ではなく「売上」の論点である点が特徴的です。

⚠️ 注意

自家消費の計上漏れは、税務調査で指摘されやすいポイントです。特に飲食店は、仕入の量に対して売上が少ないと「消費した分を売上に入れていないのでは」と疑われます。少額でも毎日積み重なると年間では大きな金額になるため、きちんと記録して計上しましょう。

自家消費の金額の計算方法【計算例】

自家消費として売上に計上する金額は、原則として「通常の販売価額」です。ただし所得税では特例があり、次の基準を満たせば認められます。

🧮 自家消費の計上額の計算

計上額 = 次の①②のいずれか大きい方以上
① 仕入価額(仕入原価)
② 通常の販売価額 × 70%

計算例:販売価額1,000円・仕入原価400円の商品を自家消費した場合
① 仕入原価 = 400円
② 販売価額の70% = 700円
→ 大きい方の700円以上を売上に計上すればOK

家事消費の計算では、定価をそのまま計上しなくてよいのが救いです。仕入原価が定価の70%を上回る薄利の商品の場合は、仕入原価で計上します。実務では「販売価額の70%」で計上するケースが多く、これを下回らないよう注意します。経費全体をどこまで攻めるかの考え方は経費はいくらまで計上できるかもあわせて参考にしてください。

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飲食店のまかないの扱い

飲食店で特に問題になるのが、まかないの扱いです。誰が食べるかで処理が変わります。

事業主・家族が食べる場合

事業主本人や家族がまかないを食べる場合は、自家消費として売上に計上します。前述の計算方法(販売価額の70%と仕入原価の高い方)で金額を算定します。

従業員に提供する場合

従業員へのまかないは、一定の要件を満たせば給与として課税されません。具体的には、(1)従業員が食事代の半分以上を負担し、(2)事業主の負担額が月3,500円(税抜)以下であることの両方を満たす場合です。これを超えると、超えた部分が現物給与として給与課税の対象になります。従業員のまかないは自家消費ではなく、給与(福利厚生・現物給与)の論点になる点に注意しましょう。

業種別の自家消費の処理

自家消費の処理は業種によって対象や考え方が変わります。代表的な業種別の例を整理します。

業種 自家消費の例
飲食店食材を使ったまかない・本人の食事
小売業販売商品の私的利用・家族への提供
美容室・サロン販売用のシャンプー等を自分で使用
酒販・食品店商品を家庭で消費・贈答に使用
農業収穫物を自家用に消費

いずれも「販売用のものを売らずに消費・贈与した」場合に自家消費の対象になります。一方、もともと事業で使う消耗品(清掃用品など)を使うのは自家消費ではありません。自分の業種で何が自家消費に当たるかは、業種別の確定申告ガイドで確認しておくと安心です。

棚卸との関係

自家消費は、期末の棚卸とも関係します。年末に在庫を数える棚卸では、実際に残っている在庫だけをカウントします。自家消費で消費した分は当然在庫から減っているので、棚卸の数字に反映されます。

ここで大切なのは、仕入はそのまま計上し、消費した分を売上に加算する、という流れです。仕入-期末在庫=売上原価という計算の中で、自家消費分は売上に計上することで、利益が正しく計算されます。棚卸との関係を正しく理解しておかないと、自家消費分を二重に調整してしまうミスが起きやすいので注意しましょう。棚卸を正確に行い、自家消費を売上に計上する。この2つをセットで押さえることが大切です。

自家消費の仕訳と勘定科目

仕訳の具体例を示します。販売価額1,000円・仕入原価400円の商品を自家消費し、販売価額の70%(700円)で計上する例です。

借方 貸方 摘要
事業主貸 700円家事消費等(売上)700円商品の自家消費

借方は事業主貸(事業のものを私的に使った)、貸方は「家事消費」や「自家消費」という売上系の勘定科目を使います。確定申告書(青色決算書・収支内訳書)には「家事消費」を記入する欄があるので、そこに合計額を記載します。会計ソフトにも自家消費の科目が用意されているので、消費の都度または月末にまとめて計上しましょう。何が経費になるかの全体像は経費にできるもの一覧でも確認できます。

自分でやる vs 税理士に任せる

自家消費の仕訳自体は簡単ですが、「いくらで計上するか」「まかないの給与課税はどうなるか」「棚卸との整合はとれているか」といった判断は、業種特有の知識が必要です。飲食・小売業の方ほど、税務調査でも狙われやすい論点なので、プロに整えてもらう価値があります。

項目 自分でやる 税理士に任せる
費用会計ソフト代のみ49,800円〜
自家消費の計上漏れやすい適正額で計上してくれる
税務調査リスク指摘されやすい調査に強い帳簿に整理

自家消費の処理に不安がある方は、一度プロに見てもらうと安心です。税理士に依頼する費用対効果は節税を税理士に依頼すべきかで詳しく比較しています。

弊所の自家消費・経費サポート実例

確定申告ドットコムでサポートした、自家消費まわりの実例を紹介します(守秘のため一部内容を変えています)。

実例1:年商2,400万円の個人飲食店(料金:年99,800円)

まかないや本人の食事を自家消費として計上していなかったケース。販売価額の70%で日々の自家消費を概算計上する運用を整備し、従業員まかないは非課税要件を満たす形に調整。税務調査でも指摘されない体制を作りました。

実例2:年商1,000万円の酒販店(料金:年79,800円)

家庭での消費分を売上に計上しておらず、仕入と売上のバランスに不自然さがあったケース。自家消費分を適正額で売上計上し、棚卸との整合も確認。仕入を減らす誤った処理から正しい売上計上に修正しました。

実例3:年商700万円の美容室(料金:年59,800円)

販売用のヘアケア商品を自分で使っていた分を未計上だったケース。自家消費として計上する処理を整備し、棚卸との関係も整理。少額でも積み重なる自家消費を漏れなく反映しました。

よくある質問

自家消費は経費を減らせばいいのですか?
いいえ。仕入はそのまま残し、消費した分を売上に計上するのが正しい処理です。経費(仕入)を減らす方法は消費税の扱いなどで問題が出るため、原則どおり売上計上で処理します。
自家消費の金額はいくらで計上しますか?
原則は通常の販売価額ですが、所得税では「仕入価額」と「販売価額の70%」のいずれか大きい方以上で計上すれば認められます。実務では販売価額の70%で計上するケースが多いです。
飲食店のまかないは自家消費ですか?
事業主・家族が食べる分は自家消費として売上計上します。従業員に提供する分は、一定の要件を満たせば給与課税されず、超えると現物給与になります。
従業員のまかないが非課税になる条件は?
(1)従業員が食事代の半分以上を負担し、(2)事業主の負担が月3,500円(税抜)以下、の両方を満たす場合です。どちらかを満たさないと、超えた部分が給与課税の対象になります。
自家消費を計上しないとどうなりますか?
売上の計上漏れとなり、税務調査で指摘されると追徴課税の対象です。飲食・小売業は仕入と売上のバランスから推計されやすく、特に確認されやすい論点です。
少額の自家消費でも計上が必要ですか?
必要です。1回は少額でも、毎日積み重なると年間では大きな金額になります。日々または月ごとにまとめて概算で計上する方法が実務的です。
知人にあげた商品も自家消費ですか?
販売用の商品を無償で贈与した場合も、自家消費(家事消費等)として売上に計上する必要があります。本人の消費と同じ扱いです。
棚卸とはどう関係しますか?
自家消費した分は在庫から減るので棚卸に反映されます。仕入はそのまま計上し、消費分を売上に加算することで利益が正しく計算されます。二重調整しないよう注意しましょう。

まとめ

自家消費は、飲食店・小売業などで販売用の商品を自分や家族が消費したときに発生する、見落としやすい論点です。最大のポイントは「経費を減らすのではなく売上に計上する」こと。金額は販売価額の70%と仕入価額の高い方以上で計上します。従業員のまかないは給与課税の要件に注意が必要です。税務調査で必ず確認される論点なので、正しく処理しておきましょう。自家消費の処理に迷う方は、確定申告ドットコムが適正な計上から記帳・申告まで丸ごと代行します。

📋 この記事のポイント

  • 自家消費は販売用の商品を自分・家族が消費・贈与すること
  • 経費を減らすのではなく「売上」に計上する
  • 金額は販売価額の70%と仕入価額の高い方以上
  • 事業主・家族のまかないは自家消費として売上計上
  • 従業員のまかないは要件を満たせば給与課税されない
  • 飲食・小売・美容・農業など業種で対象が異なる
  • 棚卸と整合させ、二重調整しないよう注意する

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