外注費の経費計上|給与との違いと源泉徴収・インボイス

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大手監査法人出身の公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)が監修。個人事業主・フリーランスの確定申告を年間100件以上代行している実務経験から、税務調査で争点になりやすい外注費の処理を具体的に解説します。
📋 税理士監修 💼 人に仕事を頼む方へ

人に仕事を頼む個人事業主に向けて、外注費の範囲・給与との区分・源泉徴収・インボイス対応を解説します。読めば、税務調査で給与認定されない正しい処理が分かります。

🏆 結論:外注費か給与かは「実態」で決まる。認定されると追徴に

業務委託で人に仕事を頼んだ費用は外注費として経費にできます。ただし、実態が雇用に近いと税務調査で「給与」と認定され、源泉徴収漏れと消費税の控除否認で大きな追徴を受けるリスクがあります。さらに外注先が免税事業者の場合、インボイスがないと消費税の控除が段階的に制限されます。実態に合った処理と契約が何より大切です。

外注費とは?経費にできるものの範囲

外注費とは、自分の事業の一部を外部の事業者に委託したときに支払う費用です。業務委託・外注工賃とも呼ばれ、人手が必要な作業を社外に頼むフリーランス・個人事業主にとって、金額が大きくなりやすい経費です。まずは外注費に含まれるものを整理しましょう。

外注費にできるものの例

事業の一部を外部に委託した次のような支出が該当します。

  • デザイン・ライティング・動画編集などの制作委託費
  • システム開発・プログラミングの委託費
  • 製造業の外注加工賃
  • 清掃・配送・梱包などの業務委託費
  • 一部業務を請け負ってもらうフリーランスへの報酬
  • 営業・コールセンターなどの業務代行費

似た科目に「支払手数料」がありますが、こちらは税理士・弁護士への報酬や振込手数料、仲介手数料など、役務や事務手続きへの支払いに使われます。何が経費になるかの全体像は経費にできるもの一覧で勘定科目別に整理しているほか、経費全体の考え方は経費の完全ガイドで体系的に扱っています。

外注費と給与の違い【4つの判定基準】

外注費の最大の論点が、給与との区分です。同じ「人にお金を払う」でも、外注費と給与では税務上の扱いがまったく異なります。形式的に「業務委託契約だから外注費」とはならず、働き方の実態で判断されます。国税庁は次の4つの観点を総合的に見て判定します。

判定の観点 外注費に近い 給与に近い
代替性本人以外でも納品できる本人が行う必要がある
指揮監督進め方は本人の裁量時間・場所・方法を指示される
危険負担未完成・滅失なら報酬なし成果に関わらず支払われる
材料・用具本人が用意する依頼者が提供する

1つの基準だけで決まるのではなく、全体を総合して判断されます。例えば「契約書は業務委託だが、毎日決まった時間に出社させ、当方の指示どおり作業させ、道具もこちらが用意している」場合は、実態は雇用に近く給与と判断されやすくなります。経費に計上できるかどうかの基本的な判断軸は経費の判断基準でも解説しています。

給与認定されるリスクと税務調査の争点

外注費が税務調査で給与と認定されると、二重のダメージを受けます。これが外注費を扱ううえで最も警戒すべきリスクです。

給与認定で起こる2つの追徴

  • 源泉徴収漏れの追徴:給与なら源泉徴収すべきだったとされ、徴収していなかった所得税を事業主が納めることになります(不納付加算税・延滞税も上乗せ)。
  • 消費税の仕入税額控除の否認:外注費は消費税の課税仕入れですが、給与には消費税がかかりません。給与認定されると、控除していた消費税が否認され、消費税の追徴が発生します。

つまり、所得税と消費税の両面で追徴を受けるため、金額が大きくなりがちです。実務でも、継続的に同じ人に作業を頼み、勤務実態が社員と変わらないケースは要注意です。「外注費否認」を避けるには、契約だけでなく実態を外注として整えることが欠かせません。

⚠️ 注意

節税目的で社員を形だけ「業務委託」に切り替えるのは危険です。消費税を控除でき、源泉徴収や社会保険の負担も避けられるため魅力的に見えますが、実態が変わらなければ税務調査で給与と認定されます。働き方の実態が伴わない切り替えは、かえって大きな追徴を招きます。

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外注費の源泉徴収は必要か

外注費の源泉徴収の要否は、相手と業務の内容で決まります。原則として、法人への外注や一般的な業務委託では源泉徴収は不要です。ただし、個人に支払う特定の報酬・料金は、所得税法で源泉徴収が義務づけられています。

源泉徴収が必要になる主な報酬(個人への支払い)

  • 原稿料・デザイン料・イラスト料・作曲料
  • 講演料・出演料
  • 税理士・弁護士・司法書士などの士業報酬
  • 翻訳・通訳の報酬

これらに該当する個人への支払いは、原則として支払額の約10.21%(100万円超の部分は約20.42%)を源泉徴収して納付します。なお、源泉徴収義務があるのは「給与の支払事務所」がある事業者です。従業員を雇わず一人で事業を営み、給与を支払っていない個人事業主は、原則として源泉徴収義務者にあたりません。自分が源泉徴収義務者かどうかを確認したうえで処理しましょう。

外注費のインボイス対応と経過措置

外注費を消費税の仕入税額控除に使うには、外注先からインボイス(適格請求書)を受け取る必要があります。外注先が適格請求書発行事業者であれば、支払った消費税を全額控除できます。問題は、外注先が免税事業者でインボイスを発行できない場合です。

📢 令和8年度改正:経過措置のスケジュール

令和8年度税制改正大綱(2025年12月閣議決定)により、免税事業者からの仕入れに係る経過措置が2年延長され、控除割合が多段階化されました。最終的な終了は2031年9月30日です。あわせて、一の免税事業者からの経過措置対象の仕入れが年1億円を超える部分は対象外とされます。本記事は大綱に基づく内容で、最新情報は国税庁サイトでご確認ください。

期間 免税事業者からの仕入れの控除割合
〜2026年9月30日80%控除
2026年10月1日〜2028年9月30日70%控除
2028年10月1日〜2030年9月30日50%控除
2030年10月1日〜2031年9月30日30%控除
2031年10月1日〜0%(控除不可)

※経過措置の適用には、区分記載請求書等の保存と、帳簿に「経過措置の適用を受ける旨」の記載が必要です。

免税事業者へ外注している場合、控除できない消費税分は自分の負担(コスト)になります。今後この負担は段階的に増えていくため、外注先のインボイス登録状況の把握が重要です。ただし、インボイスを理由に一方的に報酬を引き下げる行為は独占禁止法・下請法上の問題になり得るため、取引先とよく話し合って対応しましょう。

外注費の仕訳と勘定科目

仕訳の具体例を示します。適格請求書発行事業者へ外注費110,000円(税込)を支払った例です。

借方 貸方 摘要
外注費 100,000円
仮払消費税 10,000円
普通預金 110,000円○○制作 業務委託費

外注先が免税事業者で経過措置を使う場合は、控除できない消費税分を外注費に上乗せして処理し、摘要に「経過措置適用」などと記載します。源泉徴収が必要な報酬の場合は、源泉税額を「預り金」として処理し、後日納付します。経費全体をどこまで攻めるかの考え方は経費はいくらまで計上できるかもあわせて参考にしてください。

業種別の外注費の注意点

外注費の中身と給与認定リスクは業種によって変わります。建設・製造業は外注加工賃や一人親方への支払いで給与認定が争点になりやすく、IT・クリエイティブ系はフリーランスへの委託でインボイス対応が課題になります。配送・清掃などの業務委託も、勤務実態が雇用に近いと給与認定リスクが生じます。業種ごとの注意点は業種別の確定申告ガイドで自分の業種の傾向を確認しておくと判断しやすくなります。

自分でやる vs 税理士に任せる

外注費の記帳自体は難しくありませんが、給与との区分・源泉徴収の要否・インボイス経過措置の処理は専門知識が必要で、判断を誤ると追徴に直結します。継続的な外注がある方や、外注先に免税事業者が多い方ほど、プロに整えてもらう価値があります。

項目 自分でやる 税理士に任せる
費用会計ソフト代のみ49,800円〜
給与認定リスク判断に自信を持ちにくい契約・実態の整え方を助言
インボイス・源泉処理経過措置の処理が複雑正確に処理してくれる

外注の多い事業で税務リスクが気になる方は、一度プロに見てもらうと安心です。税理士に依頼する費用対効果は節税を税理士に依頼すべきかで詳しく比較しています。

弊所の外注費・経費サポート実例

確定申告ドットコムでサポートした、外注費まわりの実例を紹介します(守秘のため一部内容を変えています)。

実例1:年商2,000万円のWeb制作業(料金:年99,800円)

常駐に近い形でフリーランスに作業を頼んでおり、給与認定リスクが高い状態でした。代替性・裁量・道具の負担を見直し、成果物ベースの委託契約に整理。実態を外注として整えたことで、税務調査でも給与認定されず、消費税の控除も維持できました。

実例2:年商1,200万円のデザイン事務所(料金:年89,800円)

イラストレーターへの報酬の源泉徴収を失念していたケース。デザイン料・イラスト料が源泉徴収の対象であることを案内し、預り金処理と納付を整備。あわせて外注先のインボイス登録状況を一覧化し、経過措置の処理も正確にしました。

実例3:年商1,500万円の建設関連業(料金:年99,800円)

一人親方への支払いが外注費か給与かで迷っていたケース。契約形態と作業実態を精査し、外注として妥当な範囲を明確化。免税事業者の一人親方分は経過措置で処理し、税務調査に備えた記録体制を作りました。

よくある質問

外注費と給与はどう区別しますか?
契約の名称ではなく実態で判断します。代替性・指揮監督・危険負担・材料用具の負担という4つの観点を総合して、雇用に近ければ給与、独立した請負に近ければ外注費とされます。
外注費が給与認定されると何が起こりますか?
源泉徴収すべきだった所得税の追徴と、控除していた消費税の否認という二重の追徴が生じます。加算税・延滞税も上乗せされ、金額が大きくなりやすいです。
外注費に源泉徴収は必要ですか?
原則不要ですが、個人へのデザイン料・原稿料・講演料・士業報酬などは源泉徴収が必要です。また源泉徴収義務があるのは給与の支払事務所がある事業者で、従業員のいない一人事業主は原則として義務者にあたりません。
免税事業者への外注費は経費にできますか?
所得税の経費にはできます。ただし消費税の仕入税額控除は、インボイスがないと経過措置による一定割合(現在は80%、2026年10月以降は段階的に縮小)に制限されます。
インボイスの経過措置はいつまで使えますか?
令和8年度改正で2年延長され、2031年9月30日までです。控除割合は80%(〜2026年9月)→70%→50%→30%と段階的に縮小し、2031年10月以降は控除できなくなります。
外注費と支払手数料の違いは何ですか?
外注費は業務の一部を委託した費用、支払手数料は士業報酬・振込手数料・仲介手数料など役務や事務手続きへの支払いです。どちらの科目が適切かは内容で判断します。
社員を業務委託に切り替えれば節税になりますか?
実態が変わらなければ給与と認定され、追徴のリスクがあります。消費税控除や社保負担の回避を目的にした形だけの切り替えは危険です。働き方の実態が伴うことが前提です。
外注先のインボイス登録はどう確認しますか?
国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで登録番号を検索できます。請求書に記載された登録番号を確認し、登録状況を取引先ごとに管理しておくと処理が正確になります。

まとめ

外注費は、人に仕事を頼む個人事業主にとって金額の大きな経費ですが、税務上の論点が多い科目です。最大のポイントは、給与との区分が実態で判断され、給与認定されると源泉徴収と消費税の両面で追徴を受けるリスクがあること。さらに免税事業者への外注は、インボイス経過措置の段階的縮小で負担が増えていきます。実態に合った契約と正確な処理で、リスクを抑えましょう。判断に迷う方は、確定申告ドットコムが区分の助言から記帳・申告まで丸ごと代行します。

📋 この記事のポイント

  • 外注費は業務の一部を外部に委託した費用
  • 外注費か給与かは契約名でなく実態(4基準)で判断
  • 給与認定されると源泉徴収漏れと消費税控除否認の二重追徴
  • 形だけの業務委託化は危険。実態が伴うことが前提
  • 個人へのデザイン料・原稿料・士業報酬などは源泉徴収が必要
  • 免税事業者への外注は経過措置で控除が段階縮小(80→70→50→30→0%)
  • 経過措置は令和8年度改正で2031年9月まで延長

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