大手監査法人出身の公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)が監修。個人事業主・フリーランスの消費税申告を年間100件以上代行する立場から、複数あるインボイス経過措置の期限を年度別に整理して解説します。
複数あるインボイス経過措置の期限を確認したい方に向けて、年度別の一覧表で整理します。この記事を読めば、2割特例・仕入税額控除・少額特例がそれぞれいつまで使えるかが一目でわかり、自分が次に何をすべきか判断できます。
🏆 結論:特例ごとに期限が違う、個人の2割特例は2026年分が最後
インボイスの経過措置は複数あり、それぞれ終了時期が異なります。売り手側の2割特例は個人事業主では2026年分が最後で、2027年分からは新設の3割特例に移ります。買い手側の仕入税額控除の経過措置は、令和8年度改正で段階化され、2026年10月から70%に下がり2031年10月に廃止されます。少額特例は2029年9月まで使えます。それぞれの期限を取り違えると損をするため、年度別の一覧で自分に関係する措置を確認しておくことが大切です。
インボイスの経過措置は大きく分けて4つ
「経過措置はいつまで?」という疑問の答えは、どの措置を指すかで変わります。まず全体像を整理しましょう。インボイス制度全体の仕組みは「フリーランスのインボイス完全ガイド」で解説しています。
| 経過措置 | 対象 | 終了時期 |
|---|---|---|
| 2割特例 | 売り手(登録で課税になった人) | 個人は2026年分まで |
| 3割特例(新設) | 売り手(個人事業主限定) | 2割特例終了後 |
| 仕入税額控除の経過措置 | 買い手(免税事業者と取引) | 2031年9月まで |
| 少額特例 | 買い手(1万円未満の仕入れ) | 2029年9月まで |
自分が売り手か買い手か、また個人か法人かで、関係する措置と期限が変わります。
2割特例はいつまで|個人は2026年分が最後
2割特例は、インボイス登録で課税事業者になった小規模事業者が、納税額を売上税額の2割に抑えられる措置です。
📢 令和8年度改正:個人は3割特例として2年延長、法人は終了
2割特例は2026年9月30日を含む課税期間で終了します。個人事業主は2026年分(2026年1〜12月)の確定申告が2割特例の最後です。令和8年度改正で、個人事業主は2027年分から「3割特例」に移行できる形で2年延長されました。法人は2割特例で終了し、延長はありません。
3割特例とは
3割特例は、2割特例の後継として新設された個人事業主限定の措置です。納税額は売上税額の3割(売上の約3%)で、2割特例より負担は増えますが、本則課税よりは軽く済みます。2割特例の計算や有利さは「インボイス2割特例完全ガイド」で確認できます。
仕入税額控除の経過措置はいつまで|80%→70%→段階縮小
免税事業者から仕入れたときに一定割合を控除できる経過措置です。令和8年度改正で段階化・延長されました。
| 期間 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 70%(新設) |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 30%(新設) |
| 2031年10月1日〜 | 控除不可(廃止) |
※当初は2026年10月から50%になる予定でしたが、令和8年度改正で70%の期間が新設され、終了も2031年10月に後ろ倒しされました。
💡 実務のポイント
この経過措置が関係するのは、本則課税で免税事業者から仕入れている買い手だけです。弊所のお客様でも、簡易課税や2割特例を使っている方は実際の仕入税額を使わないため、この経過措置の影響を受けません。自分が影響を受ける立場かどうかをまず確認することが大切です。
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料金・サービスはこちらから →少額特例はいつまで|2029年9月まで
少額特例は、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても帳簿だけで控除できる措置です。
🧮 少額特例の期限
適用期間は2023年10月1日〜2029年9月30日。基準期間の課税売上高1億円以下(または特定期間5,000万円以下)の事業者が対象です。2029年10月以降は、1万円未満でもインボイスの保存が必要になります。
年度別対応表【全経過措置の総まとめ】
ここがこの記事の核心です。すべての経過措置を年度ごとに統合した年度別対応表を作りました。個人事業主が各年に何に注意すべきかを一目で確認できます。
| 時期 | 2割/3割特例 | 仕入控除経過措置 | 少額特例 |
|---|---|---|---|
| 2026年分 | 2割特例(最後) | 80%→70%(10月〜) | あり |
| 2027年分 | 3割特例へ | 70% | あり |
| 2028年分 | 3割特例 | 70%→50%(10月〜) | あり |
| 2029年分 | 3割特例 | 50% | 9月で終了 |
| 2030年分以降 | 3割特例 | 30%→廃止(2031/10) | なし |
※個人事業主向けの整理です。3割特例の詳細な適用条件は今後の政省令で確定する部分があるため、最新情報は国税庁サイトでご確認ください。
この年度別対応表を見ると、2026年は「2割特例の最後の年」かつ「仕入控除が80%から70%に切り替わる年」という重要な節目だとわかります。さらに2026年12月31日は、翌年から簡易課税を使う場合の届出期限でもあります。つまり個人事業主にとって2026年は、複数の経過措置が同時に動く特に注意すべき1年です。逆に2027年以降は3割特例が軸になり、しばらく落ち着いた状態が続きます。自分がどの年にどの判断を迫られるか、この表で先回りして把握しておくと、期限の見落としを防げます。
期限ごとに今やるべきこと
各経過措置の期限が近づくと、必要な対応があります。とくに重要な手続きを整理します。
2026年12月31日まで:簡易課税の届出
⚠️ 2027年分から簡易課税なら年内に届出
2割特例が終わる2027年分から簡易課税を使いたい個人事業主は、2026年12月31日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。2割特例が終われば自動的に簡易課税になるわけではなく、届出を忘れると事務負担の重い本則課税が強制適用されます。
各期限の前に方式を見直す
経過措置が切り替わるタイミングは、自分の納税方式を見直す好機です。3割特例・簡易課税・本則課税のどれが有利かは業種によって変わります。業種別の事情は「業種別の確定申告ガイド」も参考になります。登録番号の取得がまだの方は「インボイス登録番号の取得方法」もあわせてご確認ください。
確定申告ドットコムのサポート実例
弊所では、経過措置のスケジュールを踏まえた方式設計から申告まで一貫してサポートしています。実際の対応例をご紹介します。
実例1:年商550万円のフリーランスエンジニア(料金:年69,800円)
2026年分まで2割特例、2027年分から3割特例という移行プランを設計。各年の納税額を事前に試算し、納税資金を計画的に積み立てる体制を整えました。経過措置の切り替えを見越した長期設計が安心につながった例です。
実例2:年商780万円のサービス業(料金:年89,000円)
2027年分から3割特例と簡易課税のどちらが有利かを試算。サービス業(第5種)では3割特例が有利と判明し、簡易課税の届出は見送りました。期限前の比較で誤った届出を避けられました。
実例3:年商2,000万円の本則課税の制作会社(料金:年148,000円)
免税事業者への外注が多く、仕入税額控除の経過措置の縮小(70%→50%→30%)による影響を年度別に試算。各段階のコスト増を見越して、外注先への登録依頼を計画的に進める方針を設計しました。
よくある質問
まとめ:特例ごとに期限が違う、自分の関係する措置を確認
インボイスの経過措置は複数あり、期限はそれぞれ異なります。個人事業主の2割特例は2026年分が最後で、2027年分からは3割特例に移ります。仕入税額控除の経過措置は2026年10月から70%に下がり2031年10月に廃止、少額特例は2029年9月まで使えます。とくに2027年から簡易課税を使うなら2026年末までの届出が必須です。自分が売り手か買い手か、個人か法人かで関係する措置が変わるため、年度別の一覧で確認しておくことが大切です。判断や届出に迷う場合は「消費税の申告は税理士に依頼すべき?」や「インボイス登録すべきか判断する方法」もあわせてご確認ください。
📋 この記事のポイント
- 経過措置は2割特例・3割特例・仕入控除・少額特例の4つ
- 個人の2割特例は2026年分が最後、2027年分から3割特例
- 仕入税額控除は2026年10月から70%、2031年10月に廃止
- 少額特例は2029年9月まで
- 2027年から簡易課税なら2026年12月31日までに届出
- 令和8年度改正で70%・30%の段階が新設・延長された
- 自分が売り手か買い手かで関係する措置が変わる
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