フリーランスは会社員と違い、税金を自分で計算して納付する必要があります。「いつ、何を、いくら払うのか」を把握していないと、突然の納税で資金繰りが苦しくなることも。この記事では、フリーランスが払う税金の種類・納付時期・金額の目安を月別カレンダー形式で税理士が解説します。

フリーランスが払う税金は6種類

フリーランス(個人事業主)が支払う可能性のある税金・社会保険料は、主に以下の6種類です。すべてのフリーランスが6種類すべてを払うわけではなく、所得や業種によって該当するものが変わります。

税金・保険料納付先納付時期対象者
所得税国(税務署)3月15日+予定納税7月・11月所得がある全員
住民税市区町村6月・8月・10月・1月(4回分割)前年所得がある全員
個人事業税都道府県8月・11月(2回分割)法定業種かつ所得290万円超
消費税国(税務署)3月31日課税事業者のみ
国民健康保険料市区町村6月〜翌3月(10回分割が一般的)全員
国民年金保険料日本年金機構毎月(翌月末)20〜59歳の全員

フリーランス1年目で最もつまずくのが、住民税の納付です。住民税は「前年の所得」に基づいて計算されるため、会社を辞めて独立した翌年の6月に、会社員時代の高い所得をベースにした住民税の通知が届きます。独立初年度の売上がまだ少ない状態でこの請求が来ると、資金繰りが一気に苦しくなります。退職金や貯金から住民税分を確保しておくことが重要です。

税金カレンダー|月別やることリスト

フリーランスの1年間の税金スケジュールを月別にまとめました。2025年分(令和7年分)の確定申告を前提に記載しています。

1月

年間の帳簿を締める・確定申告の準備開始

前年12月31日までの取引を確定させ、帳簿を締めます。売掛金・買掛金の残高確認、減価償却費の計算、家事按分の処理を行い、確定申告の準備を始めましょう。住民税の第4期分(前年度分の最終回)の納付期限もこの月です。

2月

確定申告の受付開始(2/16〜)

所得税の確定申告期間は2月16日〜3月15日(2025年分は3月16日月曜日まで)。e-Taxなら1月上旬から提出可能です。早めに提出すれば還付金の振込も早くなります。

3月

所得税の納付期限(3/15)・消費税の申告納付(3/31)

所得税の納付期限は確定申告と同じ3月15日です。振替納税を利用すると約1か月後の4月中旬〜下旬に引き落とし。消費税の課税事業者は3月31日が申告・納付期限です(所得税とは別日程なので注意)。

4月

振替納税の引き落とし・新年度の記帳開始

振替納税を選択した場合、所得税は4月中旬〜下旬、消費税は4月下旬に口座から引き落とされます。新年度の帳簿付けも忘れずに開始しましょう。

5月

自動車税の納付(該当者のみ)

事業用の車を所有している場合、5月末が自動車税の納付期限です。事業用割合に応じて按分した金額を経費にできます。

6月

住民税の通知届く・第1期の納付

市区町村から住民税の決定通知書と納付書が届きます。第1期分の納付期限は6月末。一括納付も可能です。国民健康保険料の通知もこの時期に届くことが多いです。予定納税がある方には、税務署から通知書が届きます。

7月

所得税の予定納税(第1期)の納付

前年の所得税額が15万円以上だった方は、予定納税(第1期)の納付期限が7月31日です。前年の所得税額の3分の1を前払いします。減額申請は7月15日までに提出。

8月

住民税(第2期)・個人事業税(第1期)の納付

住民税の第2期分の納付期限は8月末。個人事業税の第1期分も8月末が期限です。個人事業税は確定申告のデータを基に自動計算され、都道府県から納付書が届きます。

9月

上半期の帳簿チェック・節税対策の検討

1〜8月の売上・経費を集計し、年間の着地見込みを立てましょう。ふるさと納税の上限額を概算したり、小規模企業共済の掛金増額を検討するのに良いタイミングです。

10月

住民税(第3期)の納付

住民税の第3期分の納付期限は10月末です。ふるさと納税の最終調整もこの時期に行うのが安全です。

11月

所得税の予定納税(第2期)・個人事業税(第2期)の納付

所得税の予定納税(第2期)の期限は11月30日。個人事業税の第2期分も11月末が期限です。減額申請は11月15日までに提出してください。

12月

年末の経費・節税対策の最終調整

ふるさと納税は12月31日が期限。小規模企業共済やiDeCoの年払い、少額減価償却資産の購入なども年内に完了させましょう。12月31日時点の売掛金・在庫の確認も忘れずに。

フリーランスの税金支払いは3月・6月〜8月・11月に集中します。特に6〜8月は住民税・国保・個人事業税・予定納税が重なり、手取りが一気に減る「地獄の3か月」です。売上の15〜20%を毎月「納税用口座」に移しておく習慣をつけると、納付時期に慌てずに済みます。

所得税|計算方法と納付時期

所得税は、1月1日〜12月31日の1年間の所得に対して課される国税です。フリーランスは確定申告で自ら税額を計算し、翌年3月15日までに納付します。

所得税の計算方法

所得税は累進課税制度が採用されており、所得が高くなるほど税率が上がります。

課税所得税率控除額
195万円以下5%0円
195万〜330万円10%97,500円
330万〜695万円20%427,500円
695万〜900万円23%636,000円
900万〜1,800万円33%1,536,000円

※このほか、所得税額の2.1%が復興特別所得税として加算されます。

予定納税に注意|7月と11月に前払いが必要

前年の確定申告で計算された所得税額(予定納税基準額)が15万円以上の場合、「予定納税」として7月と11月に前払いが求められます。各期に前年の所得税額の3分の1ずつを納付します。

予定納税の計算例(前年の所得税額45万円の場合)
予定納税基準額450,000円
第1期(7月)150,000円
第2期(11月)150,000円
確定申告時(3月)に精算残額150,000円(±差額調整)

予定納税は「前年の実績」に基づいて計算されるため、今年の売上が大幅に減った場合でも請求が来ます。その場合は「予定納税の減額申請」を行えば、納税額を減らせます。第1期の減額申請は7月15日まで、第2期は11月15日までが期限です。

予定納税を初めて経験するフリーランスは、6月に届く通知書を見て驚くことが多いです。「今年は売上が落ちそうなのに去年の分を前払いしなきゃいけないの?」という相談をよく受けます。売上が前年比で大きく下がる見込みがある場合は、必ず減額申請してください。申請しないと、翌年3月の確定申告時まで還付を受けられません。

予定納税とは?対象者の条件と払えない場合の減額申請の方法

住民税|6月に届く通知書と4回分割の納付

住民税は前年の所得を基に計算され、翌年6月に市区町村から通知書が届きます。フリーランスは「普通徴収」で自ら納付します。納付は年4回の分割が基本です。

納付期限
第1期6月末
第2期8月末
第3期10月末
第4期翌年1月末

住民税の税率は所得割10%(市町村民税6%+都道府県民税4%)+均等割(年5,000円程度)です。所得税と違い、税率は一律10%で累進課税ではありません。

住民税は確定申告さえしていれば、自分で計算する必要はありません。市区町村が自動で計算し、通知書を送ってきます。ただし、通知書の内容が正しいか(控除の適用漏れがないか等)は必ずチェックしてください。ふるさと納税の控除が反映されていないケースが実務では時折あります。

フリーランスの住民税はいくら?計算方法と安くする方法を解説

個人事業税|対象業種と8月・11月の納付

個人事業税は、法定業種に該当し、事業所得が年間290万円を超えるフリーランスに課される都道府県税です。税率は業種に応じて3〜5%で、ほとんどのフリーランスは5%です。

確定申告をしていれば別途申告は不要で、都道府県から8月頃に納付書が届きます。納付は8月と11月の年2回です。

ITエンジニア(プログラマー・SE)は法定業種に含まれない可能性があります。ただし、コンサルティングを行う場合は「コンサルタント業」として課税対象になる場合があり、業務内容によって判断が分かれます。不安な方は、事業開始届に記載した業種と実態を確認しておきましょう。

個人事業税とは?対象業種・税率一覧と計算方法をわかりやすく解説

消費税|課税事業者は3月31日が期限

消費税の納税義務があるのは「課税事業者」のみです。具体的には、2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、またはインボイス登録をして課税事業者になった場合に納税義務が発生します。

消費税の確定申告・納付期限は毎年3月31日で、所得税(3月15日)とは異なるため注意してください。

インボイス登録をした免税事業者は、2026年9月30日までの経過措置期間中は「2割特例」が使えます。消費税の納税額が売上に係る消費税の2割で済むため、負担がかなり軽減されます。この特例期間が終わった後は、簡易課税制度への切り替えも検討してください。

消費税の確定申告のやり方|個人事業主が初めて申告する手順と書き方 消費税の2割特例とは?対象者・計算方法・届出の手順をわかりやすく

国民健康保険料・国民年金保険料

国民健康保険料|前年所得で決まる・6月〜翌3月に分割納付

国民健康保険料は市区町村ごとに計算方法が異なりますが、基本的に「前年の所得」に応じて金額が決まります。通知書は6月頃に届き、6月〜翌年3月の10回分割で納付するのが一般的です。

所得が高くなるほど保険料も上がり、年間上限額(2025年度は106万円)に達するケースもあります。青色申告特別控除65万円を適用すると、国保料が年間約6〜8万円安くなる効果があります。

国民健康保険料の計算方法と安くする方法7選|減額・減免制度も解説

国民年金保険料|毎月定額・2025年度は月17,510円

国民年金保険料は所得に関係なく定額です。2025年度(令和7年度)は月額17,510円(年間210,120円)です。納付期限は翌月末日ですが、前納制度を利用すると割引が受けられます。

納付方法割引額(2025年度)
毎月納付(口座振替・当月末引落し)月50円割引
6か月前納(口座振替)約1,160円割引
1年前納(口座振替)約4,270円割引
2年前納(口座振替)約16,590円割引

国民年金の2年前納(口座振替)は約16,590円の割引になり、節約効果が大きいです。資金に余裕があれば2年前納を強くおすすめします。なお、前納した全額をその年の社会保険料控除にすることも、各年に按分して控除することもできます。節税効果を最大化したい年にまとめて控除するのも手です。

国民年金と付加年金で節税|フリーランスの社会保険料控除を解説

課税所得別|年間の税金・社会保険料シミュレーション

フリーランスが1年間に支払う税金と社会保険料の合計額を、課税所得別にシミュレーションします。青色申告65万円控除適用済み、東京都23区在住、40歳未満(介護保険なし)、扶養なしを前提としています。

項目課税所得200万円課税所得400万円課税所得700万円
所得税+復興税約10.2万円約37.5万円約97.4万円
住民税約20.5万円約40.5万円約70.5万円
個人事業税0円約5.5万円約20.5万円
国民健康保険料約22万円約45万円約82万円
国民年金保険料約21万円約21万円約21万円
年間合計約73.7万円約149.5万円約291.4万円
月平均約6.1万円/月約12.5万円/月約24.3万円/月

※概算値です。国保料は市区町村により異なります。消費税は含みません。

課税所得400万円のフリーランスは、年間約150万円を税金・社会保険料に充てる必要があります。月平均で約12.5万円です。売上から経費を差し引いた後の手取りをイメージする際は、この「税金分」を必ず差し引いて考えてください。

上記シミュレーションを見て「税金高すぎる」と感じた方は、節税対策の余地があります。小規模企業共済(年84万円控除)、iDeCo(年81.6万円控除)を活用すれば、課税所得400万円の方で年間約50万円の節税が可能です。

フリーランスの節税対策15選|年収別にやるべき順番を税理士が解説

納税に困らないための資金管理術

売上の15〜20%を納税用口座に毎月移す

フリーランスの税金・社会保険料の合計は、売上の15〜25%程度になることが多いです。毎月の売上が入金されたら、すぐに15〜20%を別口座(「納税用口座」)に移す習慣をつけましょう。こうすれば、納付時期に慌てる必要がなくなります。

振替納税を活用して約1か月の猶予を得る

所得税と消費税は「振替納税」を利用すると、納付期限から約1か月後に口座引き落としになります。事前に「預貯金口座振替依頼書」を税務署に提出しておく必要があります。

クレジットカード払いでポイントを貯める

国税(所得税・消費税)はクレジットカードでの納付が可能です。納付額に応じたポイントが貯まるため、高額の納税をする場合は検討の価値があります。ただし、決済手数料(1万円あたり約83円)がかかるため、ポイント還元率との比較が必要です。

事業用の口座と生活費の口座を分けるのは当たり前ですが、さらに「納税用口座」を作るのがベストプラクティスです。私のクライアントには、メインの事業用口座、生活費口座、納税用口座の3口座体制を勧めています。売上の入金があったら、まず20%を納税用口座、30%を生活費口座に移し、残りを事業用の運転資金にする——このルールを守れば資金繰りで困ることはほぼなくなります。

個人事業主の事業用口座の作り方|おすすめ銀行とクレカの選び方

よくある質問(FAQ)

Q. フリーランス1年目は税金をいつから払いますか?

開業した年の翌年2〜3月の確定申告で所得税を納付するのが最初のタイミングです。住民税は翌年6月から、国民健康保険料は開業した月から(または社保を抜けた月から)発生します。国民年金保険料も加入した月から毎月支払いです。

Q. 税金を払えない場合はどうすればいい?

まず税務署に相談してください。一定の要件を満たせば「換価の猶予」(最大1年)や「納税の猶予」が認められる場合があります。延滞税は発生しますが、通常より軽減されます。最も避けるべきは「無視して放置すること」です。督促を放置すると、最終的に銀行口座の差し押さえに至ることもあります。

Q. 確定申告をしないと住民税や国保の通知は届かないのですか?

確定申告をしないと住民税の計算ができず、正しい通知書が届きません。また、国保料も所得不明として最大額で計算される場合があります。所得がゼロでも確定申告(または住民税の申告)をしておくことで、国保の軽減制度(7割・5割・2割軽減)の適用を受けられます。

確定申告しないとどうなる?無申告のペナルティと罰金の金額

Q. 消費税の納付期限は所得税と同じですか?

いいえ、違います。所得税の期限は3月15日ですが、消費税の確定申告・納付期限は3月31日です。ただし、個人事業者の消費税は振替納税も可能で、その場合は4月下旬の引き落としになります。

まとめ|税金カレンダーを把握して資金繰りを安定させよう

フリーランスの税金は「3月(所得税・消費税)」「6〜8月(住民税・国保・予定納税・個人事業税)」「11月(予定納税・個人事業税)」の3つの山があります。毎月売上の15〜20%を納税用口座に積み立てておくこと、予定納税の通知が来る6月までに資金を確保しておくことが、フリーランスの資金管理の鉄則です。

フリーランスの税金管理チェックリスト
  • 売上の15〜20%を毎月納税用口座に移しているか
  • 確定申告を期限内(3月15日)に完了させたか
  • 住民税の通知書(6月届)の内容を確認したか
  • 予定納税の通知が来たら減額申請の要否を確認したか
  • 消費税の申告期限(3月31日)を把握しているか
  • 国民年金の前納制度を検討したか
  • 個人事業税の対象業種かどうかを確認したか

確定申告ドットコムでは、フリーランスの確定申告をシンプルプラン29,800円(税込)からサポートしています。「税金の支払いスケジュールがわからない」「節税しながら資金繰りを安定させたい」という方は、お気軽にご相談ください。

フリーランスの確定申告のやり方を税理士が解説【2025年版】 確定申告は自分でやるべき?税理士に頼むべき?費用と手間を比較