全員共通で必要な書類【3つ】
確定申告の方法(青色・白色)や所得の種類に関係なく、全員が準備する書類は以下の3つです。
- 確定申告書(第一表・第二表)── 所得の種類・金額、控除、税額を記載する基本書類。令和4年分から様式が一本化され、旧A・B様式の区別はなくなりました
- 本人確認書類── マイナンバーカードがあれば1枚でOK。ない場合は「番号確認書類(通知カード等)+身元確認書類(運転免許証等)」の2点が必要
- 銀行口座情報── 還付金がある場合に必要。公金受取口座を登録済みなら口座情報の記載は不要
e-Taxで申告する場合、マイナンバーカードで本人認証するため、本人確認書類の添付は不要です。さらに、源泉徴収票・保険料控除証明書・寄附金受領証明書なども添付省略が可能です。e-Taxの添付省略について詳しくは後述します。
青色申告・白色申告で異なる書類
青色申告の場合
- 青色申告決算書(4ページ構成)── 損益計算書(1ページ目)、月別売上・仕入・経費の内訳(2・3ページ目)、貸借対照表(4ページ目)。65万円・55万円控除を受けるには4ページ目の貸借対照表が必須
- 確定申告書 第四表(赤字の場合のみ)── 損失の繰越控除を受ける場合に提出
貸借対照表を提出しない場合、青色申告特別控除は10万円にしかなりません。65万円控除と10万円控除では、課税所得500万円の方なら年間約11万円の差です。会計ソフトを使っていれば貸借対照表は自動で作成されるので、必ず4ページ目まで出力して添付してください。
白色申告の場合
- 収支内訳書(2ページ構成)── 売上・経費の一覧を記載。一般用・農業所得用・不動産所得用の3種類があり、該当するものを選択
白色申告は書類が少ない分、青色申告のような65万円控除や赤字の繰越控除は使えません。開業したばかりで帳簿付けに自信がない方は白色申告でも問題ありませんが、翌年からは青色申告への切り替えを検討するのがおすすめです。
青色申告と白色申告の違いは?メリット7つとデメリットを比較控除別の必要書類一覧
所得控除や税額控除を適用するには、それぞれに対応した証明書類が必要です。フリーランス・個人事業主が使う頻度の高い控除と必要書類をまとめました。
| 控除の種類 | 必要書類 | 入手先 |
|---|---|---|
| 社会保険料控除 | 国民健康保険料の納付証明書、国民年金保険料の控除証明書 | 市区町村(国保)、日本年金機構(年金) |
| 生命保険料控除 | 生命保険料控除証明書 | 各保険会社(10~11月に届く) |
| 地震保険料控除 | 地震保険料控除証明書 | 損害保険会社(10~11月に届く) |
| 小規模企業共済等掛金控除(iDeCo含む) | 掛金払込証明書 | 中小企業基盤整備機構(小規模)、国民年金基金連合会(iDeCo) |
| 医療費控除 | 医療費控除の明細書(自分で作成)。領収書は5年間保管 | 自分で作成。健保の医療費通知も利用可 |
| 寄附金控除(ふるさと納税等) | 寄附金受領証明書 | 各自治体、またはふるさと納税サイト |
| 住宅ローン控除(初年度) | 借入金年末残高証明書、登記事項証明書、売買契約書の写し、住民票の写し等 | 金融機関、法務局、不動産会社 |
| 雑損控除 | 被害額の明細書、災害関連支出の領収書 | 自分で作成・保管 |
国民健康保険料の「控除証明書」は、年金と違って自動で届かない自治体が多いです。市区町村の窓口に自分から請求するか、支払った領収書・口座引落しの記録で金額を確認してください。振替(口座引落し)で支払っている場合は、通帳に記載された合計額をそのまま使えます。
医療費控除は「明細書」の添付が必須です。領収書そのものの提出は不要になりましたが、税務署から提示を求められた場合に備えて5年間保管する義務があります。健康保険組合から届く「医療費のお知らせ(医療費通知)」を使えば、個別の領収書がなくても明細書に転記できます。
提出方法別|添付書類の違い
同じ確定申告でも、提出方法によって添付が必要な書類が変わります。e-Taxは多くの添付書類が省略可能です。
| 添付書類 | e-Tax | 郵送・窓口 |
|---|---|---|
| 本人確認書類(マイナンバーカード等) | 不要(電子認証で代替) | 写しの添付、または原本提示 |
| 源泉徴収票 | 添付省略可(記載内容の入力は必要) | 添付不要(平成31年分から原本添付は廃止) |
| 生命保険料控除証明書 | 添付省略可(5年間保管義務あり) | 原本添付が必要 |
| 地震保険料控除証明書 | 添付省略可 | 原本添付が必要 |
| 社会保険料(国民年金)控除証明書 | 添付省略可 | 原本添付が必要 |
| 寄附金受領証明書 | 添付省略可 | 原本添付が必要 |
| 医療費控除の明細書 | 入力が必要(明細書として送信) | 添付が必要 |
| 青色申告決算書/収支内訳書 | データ入力して送信 | 紙で添付 |
e-Taxなら添付書類の「省略」が認められていますが、「保管不要」ではありません。省略した書類は5年間の自宅保管義務があります。税務署から提示を求められた場合に原本を見せる必要があるので、捨てないでください。
帳簿・書類の保存期間一覧
確定申告に使った帳簿や証憑書類は、申告後も一定期間の保存が義務付けられています。保存期間を過ぎる前に捨ててしまうと、税務調査の際に不利になる可能性があります。
| 書類の種類 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 仕訳帳・総勘定元帳 | 7年 | 7年(収入300万円超の場合) |
| 現金出納帳・売掛帳・買掛帳等 | 7年 | 7年 |
| 領収書・請求書・納品書 | 7年(前々年分の所得300万円以下は5年) | 5年 |
| 預金通帳・契約書 | 7年 | 5年 |
| 決算書類(青色申告決算書・収支内訳書) | 7年 | 7年 |
迷ったら「7年」と覚えておけば間違いありません。電子帳簿保存法の要件を満たせば、紙の原本ではなくスキャンデータやクラウド保存でもOKです。会計ソフトのデータもバックアップを取っておくのを忘れないでください。
書類を紛失した場合の対処法
「控除証明書を捨ててしまった」「源泉徴収票が届かない」というトラブルは毎年よくあります。慌てずに再発行を依頼しましょう。
| 紛失した書類 | 再発行の請求先 | 所要日数の目安 |
|---|---|---|
| 源泉徴収票 | 勤務先(退職済みの場合も元の勤務先) | 1~2週間 |
| 国民年金保険料の控除証明書 | ねんきんネット(Web)または年金事務所 | 即日(Web)~1週間 |
| 生命保険料控除証明書 | 契約している保険会社(コールセンター・Web) | 1~2週間 |
| ふるさと納税の受領証明書 | 寄附先の自治体、またはふるさと納税サイト | 1~3週間 |
| 支払調書 | 取引先(ただし発行義務はない) | 届かない場合は帳簿の記録で申告可能 |
| 医療費の領収書 | 医療機関に再発行を依頼(有料の場合あり) | 1~2週間 |
支払調書は取引先の「税務署への提出義務」はありますが、フリーランスへの「交付義務」はありません。届かなくても慌てる必要はなく、自分の帳簿に記録した売上額と源泉徴収税額で申告すれば問題ありません。むしろ、支払調書の金額と帳簿の金額が一致しない場合は帳簿の方が正しいケースもあるので、帳簿の記録を優先してください。
2025年分の確定申告で注意すべき書類の変更点
① 収受日付印の廃止(2025年1月~)
郵送・窓口で申告書を提出した際に控えに押されていた収受日付印が廃止されました。e-Taxの受信通知が正式な提出証明になります。金融機関への融資申請等で「確定申告書の控え」が必要な場合は、e-Taxで申告するのが最も確実です。
② 特定親族特別控除の新設
19歳以上23歳未満の親族(大学生の子など)で所得123万円以下の場合に適用できる新しい控除です。確定申告書の第二表に該当する親族の情報を記載し、控除額を計算します。新設の控除のため、前年の申告書からの転記では漏れやすいポイントです。
③ ID・パスワード方式の新規発行停止
e-TaxのID・パスワード方式は2025年9月末で新規発行が停止されました。今後はマイナンバーカード方式が標準です。提出方法として「e-Tax(マイナンバーカード方式)」を選択するため、マイナンバーカードが実質的な必須書類になりました。
個人事業主の業種別チェックリスト
業種によって用意すべき書類が微妙に異なります。自分の業種に該当する項目を確認してください。
| 業種 | 共通書類に加えて特に注意すべき書類 |
|---|---|
| ITエンジニア・プログラマー | 支払調書(複数の取引先がある場合)、通信費・サーバー費の領収書、PC等の減価償却明細 |
| デザイナー・ライター | 支払調書、ソフトウェアのサブスク領収書、取材費・資料購入費の領収書 |
| 配達員・運送業 | 車両の減価償却明細、ガソリン代・駐車場代の領収書、自動車保険証書、車検費用の領収書 |
| 美容師・エステティシャン | 材料費・消耗品費の領収書、テナント賃料の契約書、設備の減価償却明細 |
| 講師・コンサルタント | 交通費の明細、会場費の領収書、書籍・教材費の領収書 |
| EC物販・せどり | 仕入帳、棚卸表(12月31日時点の在庫リスト)、プラットフォームの売上レポート |
EC物販の方で年末在庫を棚卸ししていないケースを非常によく見ます。12月31日時点で売れ残っている商品は「経費」ではなく「棚卸資産」として計上しなければなりません。棚卸しを忘れると経費が過大になり、税務調査で指摘されるリスクが高まります。
よくある質問
Q. 確定申告書はどこで入手できる?
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」でオンライン作成するのが最も簡単です。印刷して郵送する場合も、作成コーナーでPDFを出力できます。税務署の窓口でも用紙を入手できますが、手書きになるため計算ミスのリスクが高くなります。
Q. 源泉徴収票は添付しなくていい?
はい。平成31年分(2019年分)の申告から、源泉徴収票の添付は不要になりました。ただし、確定申告書の「給与所得」欄に記載する際に金額が必要なため、源泉徴収票そのものは手元に用意しておく必要があります。
Q. マイナンバーカードがないと確定申告できない?
郵送や窓口での提出であれば、マイナンバーの通知カード+運転免許証などの本人確認書類でも申告可能です。ただし、e-Taxを利用する場合はマイナンバーカードが事実上必須です。e-Taxには65万円控除の要件を満たせるメリットがあるため、早めの取得をおすすめします。
Q. 領収書を全部なくしてしまったらどうなる?
帳簿にきちんと記録してあれば、領収書がなくてもすぐに否認されるわけではありません。ただし、税務調査の際に証拠書類がないと経費として認められにくくなります。出金伝票を作成して支出の事実を記録する、クレジットカードの利用明細を代替書類として保管するなどの対策を取りましょう。
領収書なしでも経費にできる?代替書類と出金伝票の書き方Q. 消費税の確定申告にはどんな書類が必要?
消費税の確定申告では、「消費税及び地方消費税の確定申告書」に加えて、「課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表」が必要です。簡易課税の場合は「付表4-3」、2割特例の場合は「付表6」を使用します。申告期限は2026年3月31日です。
消費税の確定申告のやり方|個人事業主が初めて申告する手順と書き方まとめ
確定申告の必要書類まとめ
全員共通:確定申告書(第一表・第二表)+本人確認書類+銀行口座情報
青色申告:上記+青色申告決算書(貸借対照表含む4ページ)
白色申告:上記+収支内訳書(2ページ)
控除を受ける場合:対応する控除証明書を各発行元から入手
e-Taxなら添付書類の大半が省略可能(5年間の自宅保管は必要)
書類を紛失しても再発行可能。支払調書は届かなくても帳簿で申告OK
確定申告の書類準備は、12月に証明書が届き始めたタイミングから少しずつ進めるのが理想です。1月末までに一通りの書類が揃えば、2月16日の申告開始直後に提出できます。
確定申告ドットコムでは、書類の準備段階からサポートするシンプルプラン29,800円(税込)をご用意しています。「何を用意すればいいか分からない」「帳簿の作成から任せたい」という方は、お気軽にご相談ください。
確定申告のやり方を初めての人向けに解説|5ステップで完了 確定申告は自分でやるべき?税理士に頼むべき?費用と手間を比較





確定申告書の第三表(分離課税用)は、株式の譲渡所得や不動産の売却益がある方のみ必要です。第四表(損失申告用)は、青色申告で赤字を繰り越す場合に使います。ほとんどのフリーランスは第一表・第二表の2枚で完結します。